退職金制度の提案を、どのように行っていますか?
従業員の退職金を準備するために、民間の生命保険は大変有効です。
福利厚生プランならば、従業員の退職金だけでなく、死亡退職金として遺族の保障とセットで実現ができ、従業員の心の平和をご提供できるからです。この、福利厚生プランをどのような流れで提案されていますか?
「社長!従業員に万一のことがあったときに死亡退職金が支払えるよう福利厚生として保険に入りませんか?」
こんなアプローチをしているケースもあるかと思います。
しかし、「従業員に万一があったときの保障を付けたい!」と考える社員想いの経営者ばかりではありません。
「退職金制度を持つことで、企業としての競争力を高めたい」とロジカルに考える経営者の方が圧倒的に多いのではないでしょうか。そうなりますと、損金で退職金を積み立てることにフォーカスされてしまい、民間の生命保険は少し高額に感じてしまうことでしょう。
おそらく、手軽さなどで話をしていくと「中小企業退職金共済(中退共)」に落ち着いてしまうこともあるでしょう。しかし、退職金制度を経営戦略として考えていけば、次のような言葉もいただけるはずです。
❶ 途中会社を辞めてライバル会社へ行く社員に、中途退職金を支払うのは嫌だな
❷ 優秀な人材が長く働いてくれるのは嬉しいけれど、中高年が仕事もできないのに会社にしがみつかれても困るな
例えば、この2つの想いを聞き出せたとしたら、中退共では準備できなくなります。
中退共は従業員が不祥事を起こしていようと退職金が支払われます。したがって、❶の想いは達成できません。
それに中退共と連動して従業員退職金制度をつくることになるので、❷のような早期退職制度も設計できないでしょう。
従業員の退職金をどう準備するかの前に最も大事なことは「従業員退職金規定」をつくることで、社員にどんなメッセージを出したいのかということではないでしょうか?
経営者は社員に強いメッセージを発信し、仕事に邁進して欲しいと願っています。その強力なメッセージの一つが従業員退職金制度であり、そのための資金準備です。
従業員が途中で辞めないための強制貯蓄だった?
では、経営者に
「従業員に対するお考えや想いを聞かせてください」
と言ったところで、どんな反応があるでしょうか?
きっと経営者は「今は忙しいので…」と言って、まともに取り合ってもらえないかと思います。こちらの意図が伝わらないので警戒されてしまうのです。
まずは「従業員へ退職金を支払う制度は、いつ頃から存在するかご存じですか?」くらいのカジュアルな質問から始めてはどうでしょうか?
従業員の退職金制度の始まりは、所説あるものの「従業員の退職金制度が江戸時代からあった」というのが有力です。聞けば納得できる歴史ですし、その後の変遷の中で、従業員が辞めないようにするための強制貯蓄であった歴史などを聞くと、
「なるほど、従業員退職金制度は社員の行動を規制できるものなのか」
と暗に感じてもらえるストーリーになります。これが大事です。
近年の従業員退職金
では、現在選ばれている退職金制度はどのようなものかというと、大きくは2つに分かれます。
● 確定給付型
● 確定拠出型
この違いをまずご理解いただくと、選びたい退職金制度の方向性がわかってきます。ちなみに1962年に登場し、普及した「適年」は2012年に廃止され、次のような3つの選択肢に移っています。
確定給付型の年金は従業員にとっては安心できる制度です。しかしながら、企業側にとっては、今後のマーケット環境が読めない中で積み立て不足が発生すると、その補填責任があります。これは不安を感じる要素です。
一方で確定拠出型であれば、従業員にとっては転職時にポータビリティがあることは助かります。それに企業側にとっても、運用の責任を従業員に転嫁できることは安心です。
今後、雇用が流動化していく中で求められてくる形は間違いなく確定拠出型なのではないでしょうか?
しかし、そのことですら、経営者の考えや価値観、業態の常識などと照らし合わせて考えていくべきものかと思います。
経営者の考えを聞く
従業員の退職金制度を考える上での順番は以下のとおりです。
❶ 経営者の価値観や考え
❷ 退職金制度の設計
❸ 制度設計に合った準備方法の提案(福利厚生プランの提案)
そのためにも、今のコンディションを上記スライドにあるとおり3つインタビューしておくことが望ましいのではないでしょうか?その上で、より現実的なプランをご提供したいものです。
より現実的なプランとは?
企業年金の加入者の推移は次のようになっています。
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