心疾患に関してどこまで説明していますか?
最近の医療保険の進化は素晴らしいものがあります。三大疾病においても幅広く保障をしてくれる保険が増えました。
同じ保険料であれば、カバー範囲が大きい方が良いのですが、多くのお客さまは限られた可処分所得の中から保険料を支払っています。
ですから、保険をかける場所に優先順位をつけてあげることがとても大切なことだと考えられます。
もし、三大疾病の中で「心疾患」に絞って優先順位をつけるとすると、どのような提案になるでしょうか?
❶ 心不全や不整脈など、心疾患を幅広くカバーする医療保険に重点を置く
❷ 心疾患のうち急性心筋梗塞と予後である介護や就労不能に重点を置く
どちらも間違いではないのですが、今回はあまり行われていないであろう❷のアプローチをみていきます。
心疾患の患者数の内訳
心疾患の患者数の内訳をみると、心不全が全体の1/3を占め、不整脈と狭心症が5割を占めます。ですから、患者数の内訳から見れば、急性心筋梗塞しか給付されない旧来型の医療保険や保険料払込免除はカバー率が低いように思えます。
しかし、患者数にはカラクリがあります。患者全員が病院のベッドで白いシーツの上に横たわっている患者ではないのです。通院しながら治療を行う外来患者と入院患者がいます。その内訳が右の棒グラフになっています。
この棒グラフを見れば、狭心症や不整脈で入院している患者数自体は多くないことがわかります。ともに自覚症状があって、既に通院で治療をしているというケースが全体の約85%を占めています。
つまり、不整脈や狭心症で給付金が出るとしても、給付条件に入院があるようであれば条件に当てはまらないケースも多いということです。
心疾患の入院日数
更に、各心疾患による平均入院日数を見ると、心不全と急性心筋梗塞は日数が長くなりますが、不整脈と狭心症は短くなっています。この事実を見ると、入院費用がかかるよりも通院と予後にお金がかかることをケアしたほうが良いという理屈が見えてきます。
心疾患患者の予後はどうなっているのでしょうか?
心疾患患者の予後
心疾患患者全体では、脳血管患者と比較して退院後に復職できる可能性が高いことが示唆されています。
ただ、右側のように急性心筋梗塞から不整脈を併発した場合などは心不全の状態にも近くなり、負担のある仕事はできないものと思われます。
このように考えると、心疾患に対してより幅広く保障を考えるという方向(❶)以外にも、治療としては急性心筋梗塞を重点的に支援し、その後の就労不能や介護状態に警戒する(❷)という考え方も出てきます。