物価上昇が本格的に
2023年1月に入り物価上昇が本格的になっています。メディアでは「東京23区 消費者物価指数4.3%上昇 41年ぶり高水準」という記事が出ました。
消費者物価指数には全国の指数と都内の指数があるのですが、都内での高騰がよりフォーカスされています。総務省統計局が出している、全国の消費者物価指数は次のとおりです。
2022年に入り、特に後半にインフレが加速しています。41年ぶりだと言われるだけの大きな変化です。しかし、インフレの原因を分解していくと違う姿も見えてきます。
インフレの原因
インフレには「輸入インフレ」と「ホームメイド・インフレ」があります。
- 輸入インフレ:資源価格や円安の影響により原材料が高騰し、国内の物価が上がるケース
- ホームメイド・インフレ:国内の景気が良くなって物価が上昇するケース
輸入インフレだとすると、内需が拡大しているわけではないため、国内株式では資産を増やすことは難しいかもしれません。変額保険の提案の中でポートフォリオに国内株式を入れていても対処できないという考え方になります。そして、これはメディアで取り上げられている消費者物価指数(CPI)を見るだけではわかりません。
どのような指標を見るとよりよいアドバイスができるのでしょうか?
インフレの指標
消費者物価指数とは?
消費者物価指数は消費者が購入するすべての財の価格上昇を見ています。つまり、この指数には輸入製品と国内製品が混在しているということです。
国内製品の内需によりインフレを測るのであれば、コアコアCPIを確認したほうが精緻に確認できると言えます。なぜならば、コアコアCPIはエネルギーを除いたものであるため、より国内の物価水準に的を絞れるからです。
更に言えば、もっと国内の消費だけに注目したインフレ率がわかるほうが課題を明確にできます。
GDPデフレーターとは?
そこで注目したい指標がGDPデフレーターです。GDPデフレーターとは名目GDPを実質GDPで割って算出します。
- 名目GDP:物価の高騰を加味した純粋にやり取りされた価格を積み上げた国内総生産
- 実質GDP:物価の高騰を加味しない国内総生産
例えば、国内で純粋に製造されているものの価値が上がっているのであれば、名目GDPがあがり実質GDPは変わっていないはずです。つまり分子が大きくなり、分母が小さくなるためGDPデフレーターはプラスになります。
いずれにしても、GDPは国内で生産されたものだけであるため、輸入物価が原材料とされているものを除外して考えることができます。
経済学の中では、インフレを見るときにGDPデフレーターを見ることが定石のようです。しかし、GDPの算出が四半期に1回であり、統計が遅れて出るため、毎月算出される消費者物価指数が注目を浴びてしまいます。
では、CPIとGDPデフレーターを重ねてみるとどうなるでしょうか?
ご覧のようにGDPデフレーターはマイナスで推移しています。
つまり、消費者物価上昇のほとんどの要因は輸入物価の高騰にあるということです。これは紛れもない「輸入インフレ」ということになります。今後の「輸入インフレ」に対抗するためにはどうすれば良いのでしょうか?
米ドル建て保険ならリスクヘッジできる
資産を増やしたいという方には「変額保険」がマッチしていると思いますが、資産を有事に備えて守りたいということであれば、「米ドル建て保険」がマッチしています。
流動性が高いことも守りの運用として向いている理由です。「変額保険」を持っていて、基準価額が下がり、もしそのときに自分でお金を使いたいと考えると、次の2択になります。
❶ 損を受け入れて現金化する
❷ 塩漬けする
しかし、米ドルであれば、円高になったときに円建て資産としての額面が下がるだけなので、「米ドルのまま使う」という選択肢が採れます。米ドルのまま運用をしても良いわけです。流動性を含めて考えると、米ドル建て保険の魅力は高いと考えられます。
今、変額保険が堅調に販売されています。しかし、輸入インフレに対抗することを考えると、米ドル建て保険にもリスクヘッジ商品としての魅力があります。是非、お客様にインフレの中身まで見ていただき、米ドル建て保険の提案につなげていただけたら幸いです。