全国平均は8.77%
これは2020年(令和2年)に亡くなった方のうち、相続税の納税が発生した被相続人の割合です。
この割合は平成27年の相続税税制改正までは4%前後でした。これ以降、相続税を支払う人の割合が増加したことは、皆様もよくご存じのところです。これを受けて10人に1人が相続税を納めるというお話がよくされます。
都道府県別にみると?
財務省の外局である国税庁の地方支部を国税局といいます。全国に12か所の国税局があり、各ブロックの税務署の管理等を行っています。各国税局のサイトに入ると、管轄下の都道府県の相続税納税者の数(相続人の数)および被相続人の数がわかります。ここから2020年(令和2年)の相続税納税者の割合が多い県と少ない県を調べてみます。
各国税局の管轄地域
- 札幌国税局:北海道
- 仙台国税局:青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島
- 関東信越国税局:茨城、栃木、群馬、埼玉、新潟、長野
- 東京国税局:千葉、東京、神奈川、山梨
- 金沢国税局:富山、石川、福井
- 名古屋国税局:岐阜、静岡、愛知、三重
- 大阪国税局:滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山
- 広島国税局:鳥取、島根、岡山、広島、山口
- 高松国税局:徳島、香川、愛媛、高知
- 福岡国税局:福岡、佐賀、長崎
- 熊本国税局:熊本、大分、宮崎、鹿児島
- 沖縄国税事務所:沖縄
納税割合が高い県は東京都
第一位は東京都です。相続税の納税割合は17.03%。
第二位は愛知県(14.31%)、第三位は神奈川県(13.46%)と続きます。
総務省統計局の全国家計構造調査によると、家計資産総額の大きい都道府県のランキングも東京都、愛知県、神奈川県です。家計資産総額とは「純金融資産」(金融資産残高から金融負債残高を引いた金額)と「不動産」(居住用以外も含む住宅・宅地資産)を合わせた金額を指します。つまり、プラスの財産からマイナスの財産を引いた、全ての合計金額です。
一方で、不動産を除いたランキングを見ると、神奈川県、愛知県、奈良県が上位に来て、東京都の順位は下がります。つまり、東京都は不動産の評価が高いために相続税を支払うことになっている方が多いと推察されます。
納税割合が低い県は秋田県
相続税の納税割合が低い県は秋田県(2.51%)、青森県(2.97%)、宮崎県(3.29%)となりました。
お客様の住む地域を踏まえてデータを伝えよう
「相続税を納める方は10人に1人」というニーズ喚起は、都内ではミスリーディングとなりそうです。正しくは「6人に1人」ではないでしょうか。平成27年の税制改正以降、瀬戸際ゾーンの方が増えたと思います。瀬戸際ゾーンとは少し対策すれば相続税を納めなくて良いゾーンのことです。
もっとこの現実をお客様が理解してくだされば、相続税対策提案も進むのではないでしょうか?
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